医院の成長を見極める経営判断
歯科医院の経営が順調に進むと、やがてユニット増設や移転という大きな決断が視野に入ってきます。これは、医院のさらなる成長を促す絶好の機会であると同時に、多額の費用とリスクを伴うため、慎重な判断が求められます。
ここでは、ユニット増設や移転を検討するべきタイミングと、後悔しないための判断ポイントを解説します。
ユニット増設を検討するタイミング
ユニット増設は、既存の場所でスペースを拡張できる場合に適しています。
理由1:予約が取りづらくなってきた
患者さんからの予約希望が殺到し、数週間先まで予約が埋まっている状況は、喜ばしい反面、新規患者さんや急患の受け入れが困難になっていることを意味します。この状態が慢性化しているなら、ユニット増設を検討する良いタイミングです。
理由2:スタッフの待機時間が発生している
歯科衛生士や歯科助手が次の患者さんの準備や片付けで手持ち無沙汰になる時間が増えている場合、ユニットを増やすことで、スタッフの稼働率を上げ、効率的な診療が可能になります。
理由3:特定の治療に特化したい
自費診療(インプラントや矯正など)に特化したユニットを設けることで、一般診療と切り離してより質の高い治療を提供できます。これは、患者さんの満足度向上にもつながります。
移転を検討するタイミング
移転は、ユニット増設だけでは解決できない課題がある場合に有効な選択肢です。
理由1:現在のスペースでは手狭になった
ユニット増設をしたくても、現在の医院に物理的なスペースがない場合、移転を検討する必要があります。待合室やスタッフルームが狭い、導線が悪いなど、現在の環境が診療やスタッフの働きやすさを妨げている場合も同様です。
理由2:集患に課題がある
現在の場所が駅から遠い、駐車場がないなど、立地条件が集患の足かせになっている場合、より良い立地への移転を検討する価値があります。
理由3:医院のブランドイメージを一新したい
内装が古くなり、医院のブランドイメージを一新したい場合も、移転は有効な手段です。最新の設備を導入し、快適な空間を設計することで、新しい患者層を開拓できる可能性があります。
後悔しないための判断ポイント
ユニット増設や移転は、多額の投資を伴います。安易に決断せず、以下のポイントを冷静に判断しましょう。
将来のビジョンを明確にする:「今後、どのような医院にしていきたいか」というビジョンをスタッフと共有し、増設や移転がそのビジョンに合致しているかを慎重に検討しましょう。
徹底的なコストシミュレーション:増設や移転にかかる初期費用(内装工事費、設備費用など)だけでなく、その後のランニングコスト(家賃、人件費など)も含めて、綿密な資金計画を立てましょう。
スタッフの意見を聞く:スタッフの働きやすさは、増設や移転を成功させる上で不可欠です。スタッフの意見をヒアリングし、全員が納得できる形で進めることが大切です。
まとめ
ユニット増設や移転は、医院の成長にとって重要なターニングポイントです。日々の診療の忙しさの中で見過ごされがちな、予約状況、スタッフの稼働率、そして医院の物理的な課題に目を向け、適切なタイミングを見極めましょう。
そして、綿密な計画とスタッフとの協力体制を築くことで、この大きな決断を成功へと導くことができるでしょう。
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