「法改正が多くて、何から手をつければいいかわからない…」
「2025年は、何か労務管理で変わることはあるのかな?」
2024年から2025年にかけて、労働関連の法律は目まぐるしく変化しています。これらの法改正は、歯科医院の労務管理に大きな影響を与えるものが多く、対応を怠ると、知らないうちに法律違反を犯してしまうリスクがあります。
今回は、2025年に向けて歯科医院の院長先生が特に知っておくべき労務管理の変更ポイントを解説します。時代の変化に対応し、スタッフが安心して働ける職場を作りましょう。
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#### 1. 2025年1月改正予定:多様な働き方を促進する法改正
2025年1月1日以降、パートタイム・有期雇用労働法が改正され、**「雇入れ時における労働条件の明示義務」**が強化されます。
*具体的に何が変わる?**
*雇用形態の明示: パート・アルバイトスタッフに対し、正社員との**「業務内容」**や**「責任の範囲」**、**「配置転換の有無」**を明示することが義務化されます。
*不合理な待遇差の根拠説明: 正社員とパート・アルバイトスタッフの間で給与や手当に差がある場合、その差の**「理由」**を書面で明示することが求められます。
*歯科医院がすべきこと:
* 新たに雇用するパート・アルバイトスタッフに対して、これらの項目を明記した**「労働条件通知書」**を交付しましょう。
* 現在雇用しているスタッフに対しても、書面での明示が求められるため、既存の雇用契約書や労働条件通知書を見直す必要があります。
**ポイント: この改正は、いわゆる「同一労働同一賃金」をさらに推進するものです。給与や手当の決定に際して、不合理な差がないか、今一度確認しておきましょう。
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#### 2. 2025年4月改正予定:障害者雇用促進法の改正
2025年4月からは、障害者雇用促進法が改正され、**「法定雇用率」**が引き上げられます。
*具体的に何が変わる?**
*法定雇用率の上昇: 従業員数に応じて、一定の割合で障害者を雇用する義務がありますが、この「法定雇用率」が現在の**2.5%**から**2.7%**に引き上げられます。
*対象事業主の拡大: 障害者雇用義務の対象となる事業主の範囲が、従業員40人以上から**37.5人以上**に拡大されます。
*歯科医院がすべきこと:
* 従業員数が37.5人を超える歯科医院は、障害者雇用が義務化されます。
* 障害のあるスタッフが働きやすい職場環境を整備し、業務内容や勤務時間を柔軟に設定するなど、雇用に向けての準備を進めましょう。
**ポイント: 従業員数が少ない歯科医院でも、将来的に従業員が増える可能性があります。今から、多様な人材が活躍できる職場づくりについて考えておくことが重要です。
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#### 3. 働き方改革関連法の継続的な遵守
2024年に中小企業でも義務化された「時間外労働の上限規制」や、「年5日の有給休暇取得義務」は、引き続き遵守が求められます。
*時間外労働の上限規制: 月45時間、年360時間を原則とし、特別な事情がある場合でも年720時間以内に収める必要があります。
*年5日の有給休暇取得義務: 院長先生は、スタッフが年5日の有給休暇を確実に取得できるように、取得時季を指定する義務があります。
**ポイント: これらの法律に違反すると、罰則が科される可能性があります。勤怠管理システムを導入するなどして、正確な労働時間や有給休暇の取得状況を管理しましょう。
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#### まとめ:最新情報へのキャッチアップが、安定経営への鍵
労務管理は、常に最新の情報にキャッチアップし、適切に対応することが重要です。
*パート・アルバイトスタッフの労働条件明示義務**
*障害者雇用率の上昇**
*働き方改革関連法の遵守**
これらの変更点に対応することで、あなたの歯科医院は、法的なリスクを回避するだけでなく、スタッフから「この医院は時代に合った働き方をさせてくれる」という信頼を得られるでしょう。もし、法改正への対応に不安がある場合は、専門家である社会保険労務士に相談することをお勧めします。
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