労働基準監督署の調査で慌てない!歯科医院が準備すべきこと

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「ある日突然、労働基準監督署から電話がかかってきたら…」

多くの院長先生が、そんな状況を想像して不安を感じるのではないでしょうか。労働基準監督署(以下、労基署)の調査は、不正な労働環境を是正するためのものであり、決して珍しいことではありません。

しかし、日頃から労務管理を適切に行っていれば、調査を恐れる必要はありません。万が一の事態に備え、慌てずスムーズに対応できるよう、労基署の調査内容と、歯科医院が準備しておくべきポイントを解説します。

1. 労基署の調査とは?
労基署の調査は、主に以下の2つのケースで実施されます。

定期監督: 労基署が事業場(歯科医院)を無作為に選び、定期的に行う調査です。労働時間、賃金、有給休暇、安全衛生など、基本的な労働基準法遵守状況をチェックします。

申告監督: 過去に在籍していた、または現在在籍しているスタッフからの「申告」がきっかけで実施される調査です。未払い残業代、不当解雇、ハラスメントなど、特定の事柄について詳しく調査されます。

特に申告監督は、事前通告なしに抜き打ちで実施されることもあり、日頃から労務管理を適正に行っておくことが重要ですし、事前の準備が鍵となります。

2. 労基署の調査で確認される主な項目
調査では、主に以下の書類や記録の提示を求められます。

労働時間・賃金に関する書類

タイムカード、勤怠記録: 全スタッフの出勤・退勤時間、休憩時間などが正確に記録されているか。1分単位での記録が求められます。

賃金台帳、給与明細: 基本給、各種手当、残業代、控除額などが正しく記載されているか。

雇用契約書、労働条件通知書: 労働時間、給与、休日などの労働条件が明確に記載され、スタッフと交わされているか。

休日・休暇に関する書類

年次有給休暇管理簿: スタッフごとの有給休暇の付与日数、取得日数、取得時季などが記録されているか。

就業規則

労働時間、賃金、休日、有給休暇、懲戒処分など、医院のルールが明確に定められているか。

従業員が10人以上の場合は、就業規則を労働基準監督署に届け出ているか。

36協定(時間外・休日労働に関する協定)

残業や休日労働をさせる場合に必要な労使協定が締結され、労基署に届け出られているか。

これらの書類は、日々の労務管理の中で常に最新の状態に保ち、すぐに提示できるようにしておく必要があります。

3. 調査に慌てないための対策チェックリスト
いざという時に慌てないよう、以下のチェックリストを参考に、日頃から準備を進めましょう。

勤怠記録の正確な管理

タイムカードや勤怠管理システムを導入し、1分単位で労働時間を記録していますか?

業務開始前の準備時間や終業後の片付け時間も、労働時間としてカウントしていますか?

給与計算の適正化

残業代や休日出勤手当を、法律に則った割増率で正しく計算し、全額支払っていますか?

最低賃金を下回っていませんか?

就業規則・雇用契約書の整備

就業規則の内容が最新の法律に準拠しているか確認していますか?

雇用契約書を全スタッフと交わし、労働条件を明確にしていますか?

有給休暇の管理

スタッフに年10日以上の有給休暇が付与される場合、年5日は確実に取得させていますか?

有給休暇の取得状況を管理簿で記録していますか?

まとめ:労務管理の徹底が最大の防御策
労基署の調査は、歯科医院の労務管理状況を客観的に見直す良い機会でもあります。

日頃からこれらの準備を徹底しておくことは、労基署の調査を無事に乗り切るだけでなく、スタッフとの信頼関係を築き、離職率を下げることにも繋がります。

もし、自力での準備に不安がある場合は、専門家である社会保険労務士に相談し、労務監査を依頼することも一つの有効な手段です。労務管理のプロに任せることで、安心して診療と経営に専念できます。

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