「うちの医院、就業規則はあるけど、ずっと昔に作ったままで…」
「どうせスタッフも読んでないだろうし、変更する必要ある?」
そう思っている院長先生はいませんか?就業規則は、スタッフとの間で交わされる「労働のルールブック」です。法律の改正や働き方の多様化に合わせて更新しないまま放置していると、思わぬ労務トラブルの原因となり、大きなリスクを抱えることになります。
今回は、歯科医院の就業規則を最新の状態に保つための重要性と、見直すべきチェックポイントを解説します。
なぜ就業規則の更新が必要なのか?
就業規則は、単に医院のルールをまとめたものではありません。労働基準法などの法律に則って作成・運用される必要があります。法律が改正されるたびに、就業規則もそれに合わせて更新しなければ、法律違反となる可能性があるのです。
また、就業規則はスタッフ全員に周知しなければなりません。スタッフが安心して働ける環境を整えるためにも、最新のルールを明確にすることが不可欠です。
特に注意すべきポイント:
労働基準法の改正:2019年に中小企業にも適用された時間外労働の上限規制や、有給休暇の年5日取得義務化など、法改正に合わせた内容になっているか確認が必要です。
雇用形態の多様化:パートタイムや有期雇用スタッフの増加に伴い、正社員だけでなく、すべてのスタッフに適用されるルールが明確になっているか見直しましょう。
社会の変化:ハラスメント防止対策や育児・介護休業に関する規定など、社会のニーズに合わせて最新の内容を盛り込む必要があります。
歯科医院の就業規則、見直すべきチェックポイント
あなたの医院の就業規則が最新のものか、以下のチェックポイントで確認してみましょう。
【労働時間・休日・休暇】
労働時間:始業・終業時刻、休憩時間、所定労働時間が明確に記載されていますか?
時間外労働:36協定(時間外・休日労働に関する協定)の内容に基づき、残業時間の上限や割増賃金率が正しく記載されていますか?
年次有給休暇:発生条件、付与日数、取得義務(年5日)について、法律に沿った内容になっていますか?
【給与・賃金】
給与体系:基本給、各種手当(資格手当、役職手当など)、残業代の計算方法が明確に記載されていますか?
最低賃金:地域ごとの最低賃金を下回っていないか、定期的に確認する旨が記載されていますか?
退職金:退職金制度の有無、支給要件、計算方法などが明確に記載されていますか?
【服務規律・懲戒】
服務規律:職務専念義務や秘密保持義務など、スタッフが守るべきルールが明確になっていますか?
懲戒処分:どのような場合に、どのような懲戒処分(減給、出勤停止、解雇など)を行うのか、その種類と程度が明確に記載されていますか?
【ハラスメント対策】
ハラスメントの禁止:パワハラ、セクハラ、マタハラなど、あらゆるハラスメントの禁止が明記されていますか?
相談窓口:ハラスメントの相談窓口の設置や、相談者・行為者へのプライバシー保護に関する規定が記載されていますか?
まとめ:就業規則の更新は「安心」への投資
就業規則の定期的な見直しは、面倒に感じるかもしれませんが、それは「安心」を買うための重要な投資です。
就業規則を最新の法律に合わせ、スタッフに周知徹底することで、以下のメリットが得られます。
労務リスクの低減:法律違反やスタッフとのトラブルを未然に防ぎます。
公平性の確保:院内で統一されたルールが明確になることで、スタッフ全員が納得して働けます。
信頼関係の構築:院長先生が真摯に労務管理に取り組んでいる姿勢が伝わり、スタッフからの信頼を得やすくなります。
もし、自力での更新が難しいと感じたら、専門家である社会保険労務士に相談してみましょう。専門家のサポートを受けることで、安心して医院経営に専念できます。
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