「急な欠勤でシフトが回らない…」
「繁忙期になると、スタッフの残業がどんどん増えてしまう…」
歯科医院では、新年度や長期休暇明けなど、特に忙しくなる時期があります。このような繁忙期を乗り越えるためには、適切なシフト管理が不可欠です。しかし、ただ単に穴埋めをするようなシフトでは、スタッフの疲労や不満が溜まり、離職につながるリスクを高めてしまいます。
今回は、スタッフの負担を軽減し、働きがいを維持しながら、繁忙期でも円滑な医院運営を行うための「シフト管理」と「労務管理」の連携ポイントを解説します。
1. シフト管理の基本原則:労務の視点を取り入れる
シフトを作成する際には、まず法律やスタッフとの約束事を守ることが大前提となります。
労働時間の遵守:1日8時間、週40時間の法定労働時間を超えて働かせないようにシフトを組みましょう。やむを得ず超える場合は、必ず時間外労働として正しく賃金を支払うことが重要です。
休憩時間の確保:労働時間が6時間を超える場合は45分以上、8時間を超える場合は1時間以上の休憩をスタッフに与える義務があります。休憩時間は、スタッフが完全に労働から解放される時間です。
休日を考慮する:労働基準法では、原則として「週に1日」または「4週間に4日」の休日をスタッフに与える義務があります。これを守るようにシフトを組みましょう。
有給休暇の計画的付与:2019年以降、年10日以上の有給休暇が付与されるスタッフには、年5日の取得が義務化されています。繁忙期前にスタッフと相談し、計画的に有給休暇を取得できるようにシフトを調整しましょう。
これらの労務ルールをシフト管理に組み込むことで、スタッフは「この医院は、私たちの健康と権利を大切にしてくれる」と感じ、安心して働くことができます。
2. シフト作成の効率化アイデア
手書きのシフト表では、管理が煩雑になり、ヒューマンエラーも起こりやすくなります。シフト管理を効率化するためのアイデアをいくつかご紹介します。
シフト管理ツールの導入:クラウド型のシフト管理ツールを導入すれば、スタッフの希望休をオンラインで集約でき、シフト作成が格段に楽になります。また、有給休暇の残日数なども一元管理できるため、労務リスクの軽減にも繋がります。
スタッフの希望を尊重する:スタッフの希望休をできる限り尊重することで、モチベーションが向上し、離職率の低下にも繋がります。
役割分担の明確化:終業後の片付けや翌日の準備など、特定のスタッフに負担が集中しがちな業務を、日替わりで担当者を決めるなどして全員で分担しましょう。
3. 繁忙期を乗り切るためのコミュニケーション術
シフト管理は、単なる事務作業ではありません。スタッフとの円滑なコミュニケーションがあって初めて、効果的に機能します。
繁忙期への理解を求める:繁忙期が始まる前に、院長先生からスタッフに対し、「これから忙しくなるけど、みんなで力を合わせて乗り切ろう!」と協力を呼びかけましょう。
感謝の気持ちを具体的に伝える:忙しい時期ほど、スタッフの頑張りをねぎらう言葉が大切です。「今日の診療、すごくスムーズに進んだね。ありがとう!」など、具体的な言葉で感謝を伝えましょう。
繁忙期手当や特別休暇の検討:繁忙期を無事に乗り切った後には、繁忙期手当の支給や、臨時で特別休暇を付与するなど、頑張りに応える仕組みを検討してみましょう。
まとめ:シフト管理は「労務」と「コミュニケーション」の連携が鍵
繁忙期を円滑に乗り切り、スタッフの定着率を上げるためには、シフト管理に労務の視点を取り入れ、スタッフとのコミュニケーションを大切にすることが不可欠です。
労務ルール(労働時間、休憩、休日、有給)を遵守したシフト作成。
シフト管理ツールの活用で効率化を図る。
スタッフとのコミュニケーションで協力を仰ぎ、感謝を伝える。
これらのポイントを実践することで、あなたの歯科医院は、繁忙期でもスタッフが疲弊することなく、チーム一丸となって乗り越えられる、強い組織へと成長できるでしょう。
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