ストレスチェック、メンタルヘルス対策…歯科医院でできること

「最近、スタッフの表情が硬いような気がする…」
「ストレスチェックって、大きな会社がやるものじゃないの？」

歯科医院の仕事は、患者様との人間関係、複雑な治療内容、急患対応など、心身ともに大きなストレスを伴います。スタッフのメンタルヘルスが不調に陥ると、業務の質が低下するだけでなく、医療ミスのリスクや離職に繋がる可能性もあります。

しかし、「メンタルヘルス対策」と聞くと、難しく感じるかもしれません。今回は、小さな歯科医院でも今日から始められる、スタッフのストレス軽減とメンタルヘルス対策について、具体的な方法を解説します。

1. 職場の「ストレス要因」を知る

スタッフのストレスを軽減するためには、まず何がストレスの原因になっているのかを知ることが重要です。

人間関係：院長先生との関係、スタッフ同士の関係

業務内容：治療の難易度、業務量の多さ、患者さんからのクレーム対応

労働環境：長時間労働、残業の常態化、休憩時間の不足

個人の悩み：給与、評価、将来への不安

これらのストレス要因は、スタッフ一人ひとり異なります。院長先生は、普段からスタッフとのコミュニケーションを通じて、これらのストレス要因を把握するよう努めましょう。

ストレスの原因がわかれば、次はその軽減策を実行に移します。ここでは、すぐに始められる4つの対策をご紹介します。

対策①：コミュニケーションを活発にする

定期的な面談：月に一度、院長先生とスタッフが個別に話す時間を設けましょう。仕事の悩みや不安を気軽に話せる関係を築くことが大切です。

感謝を具体的に伝える：「いつもありがとう」だけでなく、「今日の〇〇の対応、すごく良かったよ」など、具体的なエピソードを交えて褒めましょう。自分の頑張りが認められることは、ストレスを大きく軽減します。

対策②：業務の負担を減らす

業務の効率化：終業後の片付けや翌日の準備など、残業の原因となっている業務を見直しましょう。マニュアルを作成し、全員で分担することで、一部のスタッフに負担が集中することを防げます。

役割分担の見直し：特定のスタッフに業務が集中している場合は、他のスタッフに仕事を振り分け、負担を分散させましょう。

対策③：休憩時間をしっかり確保する

「休む権利」を保障：休憩時間は、スタッフが労働から完全に解放され、自由に過ごせる時間です。電話番や急患対応など、業務を命じることはできません。

休憩室の環境改善：休憩時間にリラックスできるよう、休憩室を清潔に保ち、スタッフがくつろげる環境を整えましょう。

対策④：相談窓口を設置する

内部相談窓口：院長先生や信頼できるスタッフを相談窓口に設定しましょう。

外部相談窓口：心理カウンセラーや社会保険労務士など、外部の専門家を相談窓口に設定することで、より客観的な視点からアドバイスを得ることができ、スタッフも安心して相談できます。

従業員が50人以上の事業所では、「ストレスチェック制度」の実施が法律で義務付けられています。従業員が50人未満の歯科医院では義務ではありませんが、任意で実施することも可能です。

メリット：ストレスチェックを実施することで、スタッフは自分のストレス状態を客観的に知ることができます。また、院長先生も職場全体のストレス状況を把握でき、効果的な対策を講じることができます。

メンタルヘルス対策は、難しい制度や専門的な知識がなくても始められます。大切なのは、院長先生がスタッフの心身の健康に気を配り、思いやる気持ちを持つことです。

ストレス要因を把握する
コミュニケーションを活発にする
業務の負担を減らす
休憩時間を大切にする

これらの取り組みは、スタッフのストレスを軽減し、働きやすい職場を作るだけでなく、スタッフとの信頼関係を深めることにも繋がります。