「『あれやって、これやって』と、いちいち指示を出さないといけない…」
「スタッフがもっと、自分たちで考えて動いてくれたらいいのに…」
多くの歯科医院の院長先生が、スタッフが自律的に動く「強いチーム」を作りたいと願っています。しかし、その方法が分からず、ついマイクロマネジメント(細かな指示)に陥りがちです。
スタッフが自律的に動くチームを作るためには、単に「任せる」だけでなく、その土台となるチームビルディングと労務管理の両方を戦略的に行うことが不可欠です。今回は、スタッフが主体的に考え、行動するチームを作るためのポイントを解説します。
チームの「共通目標」を明確にする
スタッフが自律的に動くには、「何のために働くのか」という共通の目標が必要です。この目標が不明確だと、スタッフは自分の業務がチーム全体の成功にどう繋がっているのか分からず、言われたことだけをこなす受動的な働き方になってしまいます。
ミッション・ビジョンを共有する: 院長先生が「どんな歯科医院にしたいか」というビジョンを熱く語り、スタッフに共有しましょう。
目標設定を共有する: 「今月は患者さん満足度を〇〇%にしよう」「来月は院内環境の改善に取り組もう」など、達成可能な目標をスタッフと一緒に設定しましょう。
ポイント: 共通目標は、単に壁に貼るだけでなく、毎日の朝礼やミーティングで繰り返し確認し、全員の意識を統一することが大切です。
公平な「評価制度」で成長を促す
スタッフが自律的に動くためには、「頑張りが正当に評価される」という安心感が必要です。評価制度は、スタッフの成長を促し、自律性を育むための重要なツールです。
多角的な評価基準: 評価項目を、技術力だけでなく、「チームワークへの貢献度」「業務改善の提案」「患者さんへのホスピタリティ」など、多様な観点から設定しましょう。
フィードバックの徹底: 評価結果は、一方的に伝えるのではなく、個別の面談を通じて、なぜその評価になったのかを具体的にフィードバックしましょう。
ポイント: 評価は、院長先生が一方的に決めるものではなく、スタッフの頑張りを「承認」し、次のステップを一緒に考える「対話」の時間です。
「権限委譲」と「失敗を許容する文化」を作る
スタッフが自律的に動くためには、自ら考えて行動する「機会」を与えることが不可欠です。
業務の権限委譲: 例えば、「院内掲示物の作成」や「備品の発注管理」など、スタッフに任せられる業務は積極的に任せましょう。
失敗を許容する文化: 「失敗したらどうしよう…」という不安があると、スタッフは自律的な行動をためらってしまいます。「失敗は学びのチャンス」と捉え、再発防止策を一緒に考える姿勢を見せましょう。
ポイント: 院長先生は、スタッフが自分で判断できるような「ガイドライン」を示し、スタッフが困ったときにいつでも相談できる「安心できる存在」であることが重要です。
労務管理で「心理的安全性」を確保する
スタッフが安心して自律的に動くためには、職場に「心理的安全性」が確保されていることが不可欠です。労務管理は、この心理的安全性を支える土台となります。
ハラスメント対策: パワハラやセクハラに対する明確な方針を定め、相談窓口を設置しましょう。これにより、スタッフは人間関係の不安なく、自分の意見を言えるようになります。
働きやすい制度: 育児休業や短時間勤務制度など、スタッフのライフステージに合わせた働き方を支援する制度を整えましょう。これにより、スタッフは安心してキャリアを継続できると実感します。
ポイント: 健全な労務管理は、スタッフに「この医院は、私たちのことを大切に考えてくれている」というメッセージを伝え、安心してチャレンジできる環境を提供します。
まとめ:自律的なチームは「信頼」から生まれる
スタッフが自律的に動くチームを作るための鍵は、院長先生がスタッフを信頼し、その信頼を労務管理とチームビルディングで具体的に示すことです。
共通目標で目的を共有する。
公平な評価制度で成長を促す。
権限委譲と失敗を許容する文化で機会を与える。
労務管理で心理的安全性を確保する。
これらのポイントを実践することで、あなたの歯科医院は、院長先生の指示を待つのではなく、スタッフ一人ひとりが自ら考え、行動する「自律的なチーム」へと生まれ変わるでしょう。
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